2011年8月31日 winebaraoi

北海道から届きました。

本日よりスタートした「全国ご当地ワイン」、2回目は「北海道」です。

 

通常のグラスワインのラインアップに加え6種類、北のワインがお楽しみいただけます。ずらっと並ぶと壮観?ですね。そして、北の清々しいイメージを表しているのでしょうか?ボトルやラベルが全体的にグリーーーン!です。

そんな北海道のワイン6種類、一覧はこのブログの北海道イベントのところをご参考いただければと思います。

ここではその中から、北海道のワイナリーでも老舗の「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」(通称「十勝ワイン」)をご紹介します。

 

十勝地方、池田町にてワイン造りが始まったのは昭和30年代。

山梨のように昔から農家でどぶろくのようにワインを作っていた、という背景はなく、昭和20年代後半厳しい自然災害(地震と冷害)に見舞われた十勝で、いかにこの苦境から立ち直り地場産業を作り上げていくか、という苦悶の結果、当時の町長さんの声掛けで始まったのがワイン造り。昭和38年に日本初の自治体経営によるワイン醸造がスタートします。

町長さんは闇雲にワインを思いついたわけではありません。もともと十勝には厳寒でもたわわに実る「山ぶどう」が存在しました。

そして十勝には未耕作の傾斜地が存在し、また厳寒といえども日本有数の日照量を誇る、という地の利がありました。

こうした複数の希望にかけワイン造りを始めたわけです…が…

冬の厳寒によるぶどうの枯死、また実っても収量不足のため売れるほどのまとまった量ができない、運営資金の慢性的な赤字、町運営することへの批判…

そんな困難の中、耐寒性の強いぶどうを求め数多の交配品種を試験栽培し、寒冷地に適した栽培方法を模索。

何年もあきらめない、あきらめない、とにかく不屈の精神。

結果、山ぶどうをベースに独自の「清見」「清舞」「山幸」など、耐寒性とワインとしての品質、両方に適うぶどう品種の栽培に成功!

ワイン造り、ひいては町おこしの成功例として、広く知られるに至ります。

 

と、文章にまとめるとわずかですが、現在の「北海道ワイン=十勝ワイン」という到達点にいたるまでのストーリーは、まさにNHKの「プロジェクトX」のよう。(実際十勝ワインがテーマになったこともあったのでは?)

詳細を知りたい方、いろいろありますが、「山本博著 北海道のワイン~日本ワインを造る人々~」という熱い書籍があります、ご参考までに。

 

「俺はここでしか造れないワインをつくりたい!」とか「フランスで飲んだワインに衝撃を受けて」とか、そういうのも素敵ですが、自分が、家族が住んできてこれからも暮らしてくこの場所を、難とかもっと良くできないか、そのためにどうしたら?という自己表現ではない実質なワイン造りというのは、凄みを感じてしまいます。

 

さてさて長くなりましたが十勝ワインの中から2種。

写真左から3番目の「BACCHUS」。バッカスと読みます、聞きなれないですがドイツ原産の品種で白ワインです。

これは爽やかな中に白コショウや山椒?のようなスパイスのニュアンスがムンムン、非常に個性的な白ワイン。ぶどうは十勝から離れ余市で採れたものだそうです。個性的といってもフルーティーさと飲み口の軽やかさから、特に女子受けするのではないでしょうか?私も好きです。

次、写真右から2番目の「山幸」。やまさちと読みます、これがずばり十勝ワインの独自品種で赤ワイン。

耐寒性のあるセイベルという仏原産ぶどうの突然変異と選別の結果造られた「清見」。これに山ぶどうを掛け合わせ、積雪にも耐えられる丈夫な品種として造られたのが「山幸」だそうです。黒い色合いと程よい渋みもありつつ、なんといっても特徴はしっかりした酸味!これは若干好みが分かれるかもしれませんが、非常に飲みごたえのある背筋のピンと張ったワイン。酸っぱい好きの私は好きですね。ハマる。

 

こんな十勝の、さらには北海道のワインがいろいろ飲み比べもできる今週、よろしければお楽しみください。おつまみも豊富です、たぶん…。

 

書きながらずっと中島みゆきさんが頭に流れ続けたブログ。長々失礼いたしましたm(__)m

 

小林(嫁)